静岡市の文化財

清見寺朝鮮通信使詩書一覧

No.46 槐翁筆 副使慶暹七言絶句・槐翁筆 従事官丁好寛七言絶句

使行年
西暦1607年
制作者
槐翁
形態
紙本墨書(屏風二曲一隻)
寸法
縦134.0cm×横58.5cm
縦134.0cm×横58.5cm
槐翁筆副使慶暹七言絶句、槐翁筆従事官丁好寛七言絶句

屋後瑶泉九曲来
門前滄海十洲廻
桂子天香明月夜
怳然高臥玉京台

蒼松翠竹十洲間
琪樹瑶宮鏡裏寒
聞説三山流海上
却従清見寺前看

屋後の瑶泉九曲して来
門前の滄海十洲を廻る
桂子の天香明月の夜
怳然として高臥す玉京台

蒼松翠竹十洲の間
琪樹瑶宮鏡裏に寒し
きくならく三山海上に流るると
ふりかえって清見寺より前のかたに看たり

清見寺伽藍は後に山を背負い、山腹の瀧は幾重に折れて池泉に落ちている。門前には、大海原が広がり、仙人が住む島々を廻っている。香木である桂は月の中に生えていると言うが、この明月の夜には、その香が天から降り注いでいるように思え、驚き呆然(ぼうぜん)として天帝使用に擬して命名した玉京台上に悠々(ゆうゆう)と休んでいる。

清見寺には、蒼々とした松や緑したたる竹が生い茂り、神仙の島々の中に囲まれているようだ。仙郷(せんきょう)の樹木や美しい宮殿も鏡に映し出された時にはきらびやかなものだが、現実に鏡の裏側には寒々としたものがある。聞くところに拠れば、三仙山は東海中に流れていると言うが、ふりかえって清見寺の前方に眼をこらしてじっと看ているのである。

The Seikenji Buddhist temple has mountains to its rear, and the mountainside’s multilayered waterfall falls into its pond. The great sea spreads out before the temple gate, and the islands on which the Xian live can be seen. The aromatic katsura tree is said to grow on the moon, and on this autumn night, the aroma feels as if it is pouring from the sky. Surprised and astonished, I rest quietly atop the bench of Gyōkei, so named as if it were meant for the gods.

At Seikenji, the verdant pine and lush bamboo grow thick, and I feel as if I am surrounded by the islands of the shenxian. The trees and beautiful palaces of the land of xian are resplendent when reflected in a mirror, but in reality the backside of the mirror is cold and bleak. As someone once said, the three sacred mountains drift through the eastern sea; I turn and squint my eyes to what lies before Seikenji, staring straight ahead.

집 뒤에 옥 같은 샘물 아홉 구비 흘러오고
문 앞엔 넓은 바다 십주5)가 둘러 있는데,
계자의 하늘 향기6) 달 밝은 밤에
옥경의 누대에 어리둥절 높이 누웠다.

푸른 솔과 대나무 우거진 십주 사이에,
옥 나무 아름다운 집이 거울 속에 차갑네.
듣자니 삼신산이 바다로 떠내려갔다던데
청견사 앞에 와서 도로 보게 되었네.

*この詩は、国交回復のために、徳川家康の要請で宣祖丁未年(1607年)に派遣された回答使の詩として、清見寺に残っている最も古い使行詩である。この詩は、詩帖には見当たらず、詩板で懸け板に板刻されている。仁祖2年(1624年)に副使として派遣された姜弘重の『東槎録』に「清見寺の壁の間に三編の詩が掛かっている」という記録がある。
七松慶暹と一翠丁好寛の詩を、槐翁が書き直したものである。
*十洲・・中国・漢の時代に東方朔が記した「海内十洲記」に出てくる神仙が住むという島。祖洲、瀛洲、玄洲、炎洲、長洲、元洲、流洲、生洲、鳳鱗洲、聚窟洲。
*桂子の天香・・秋の季節に花開く木犀の濃い香りを桂香という。

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