静岡市の文化財

清見寺朝鮮通信使詩書一覧

No.10 書記南聖重(仲容・泛叟)七言律詩・五言律詩

使行年
西暦1711年
制作者
南聖重
形態
紙本墨書
制作年代
正徳元年・西暦1711年
寸法
縦46.3cm×横76.4cm
書記南面聖重的(仲容、泛叟)7言法詩、5言法詩
清見寺泣次遺韻

百里長程褥食登
為縁今日訪庵僧
林間石路連村落
舟上漁灯対仏灯
特地祥煙三島近
諸天瑞雨四花騰
手摩古塔苔紋蝕
先子題名在幾層

樹老千年色
楼臨万頃波
先君停節処
小子躡珠過
独有詩篇在
悲吟感涙多
逢僧説旧事
懐抱更如何

辛卯仲冬 朝鮮国信使記室南聖重仲容

清見寺に泣いて遺韻に次す

百里の長程褥食すすむ
縁の為に今日庵僧をおとなふ
林間の石路は村落を連ね
舟上の漁灯は仏灯に対す
特地の祥煙は三島近く
諸天の瑞雨に四花はあがる
手に古塔を摩せば苔紋むしばみ
先子の題名幾層にあり

樹は老いたり千年の色
楼は臨む万頃の波
先君節を停めし処
小子は珠をふんで過ぐ
独り詩篇に在る有り
悲吟感涙多し
僧にあいて旧事を説く
懐抱更にいかんせん

清見寺に泣いて遺韻に次す

百里の長い旅程もここまで進んできて、亡き父に縁の深いこの清見寺を今日訪問することができた。林の中を行く石がちな路は村々を通り、海上の漁師がともす灯は仏を荘厳(そうごん)する灯と対をなしているようである。この清見寺は特別に選ばれた土地であって、聖域に立ち上る香煙(こうえん)は、東海中にあるという三島の仙郷(せんきょう)に近い事をうかがわせる。天上界からの雨は花を甦らせ、古い石塔(せきとう)を撫でると苔むしており、これらは全て先考の賦した詩にみえるものである。

老樹は千年を経た色をたたえ、堂宇ははてしない海に臨んでいる。先考(せんこう)が使節の時にたたずんだ場所に私もたち、その足跡をたどっている。先考の詩を思いを致していると、悲しくて涙をもよおしてくる。清見寺の僧侶に先考の事跡(じせき)を述べていると、今更ながら懐旧の念が募ってくることだ。

Our long journey has continued to this place, and today I was able to visit Seikenji, to which my late father had a deep connection. Stone paths cut through groves and pass through villages, and the lanterns lit by fishermen on the sea match those put out in reverence to Buddha. Seikenji is on specially-chosen land, and the smoke of incense that rises from its sacred ground gives the chance to be close to the enchanted land of the three islands. Rain from the heavens revives the flowers, and I can feel the sea moss as my hand passes over the stone monuments. All of these scenes can be seen in the poems composed by our predecessors.

The old trees have the color of a thousand years, and the temple faces the endless sea. We too stand in the places where our predecessors lingered in their time as envoys, and trace their footsteps. Bringing to mind their poems, I become sad and the tears well up. As I explain to the priests the legacy of our predecessors, I feel even now a longing for those days long gone.

청견사에서 남긴 시운을 울며 따라 짓다

백리 먼 길 서둘러 올라온 것은  오늘 암자의 중을 방문하려 함이니,
숲 사이 돌길은 시골 길과 이어졌고  배 위의 어등은 불등을 마주했다.
특지의 상서로운 안개는 삼도에 가깝고  제천의 서기가 내려 사화가 날리네.
이끼 낀 옛 탑을 손으로 만지나니  선친께서 쓰신 이름 몇 층에 있는지.

나무 늙어 천 년 색이오  누각은 만경 파도에 임하였다.
선군께서 행차 머물던 곳  소자는 구슬신 신고 지나는데
단지 시편만 남아 있어  슬피 읊이며 감회가 많다.
중을 만나 옛 일 이야기하니  회포가 또한 어떠하리오.

신묘 중동 조선국신사 기실 남성중 중용[인] 의령세가, 남성중중용인
을미 통신사 종사관 호곡 남상서의 아들이다. 호는범수(泛叟).

*南聖重の父親である壺谷南翼龍が清見寺に残した七言律詩と五言律詩の韻律に従ってつくった2首である。
*褥食・・寝床で食事をして急いで来たという言葉。
*漁灯、仏灯・・漁灯は海や川で夜に魚を捕るための提灯で、仏灯は寺の殿閣につける提灯。
*三島・・使臣一行が清見寺から吉原を経て江戸へ向かう途中にある宿駅、または三神山の意味を含む。
*諸天・・諸々の仏様がおられると言われる場所。
*四花・・仏が金剛経を説法するとき、空から振り撒かれたというがく4つの花。曼陀羅花。曼殊沙花。
*珠をふんで・・真珠の履物を履く。国家の命を受けて、外国で良いもてなしを受ける使臣一行を示す。昔、中国の戦国時代の楚国の宰相春信君が従える門客の中で、上級門客はすべて真珠を打ち込んだ履物をはいていたという。

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